“誰一人とり残さない” かけ声だけに終わらせない!

交換した雨水ます(矢印)の蓋の感触を確認しました。

以前に子育て中の全盲の視覚障がい者の方から保育園に通う道のりで点字ブロックをつけてほしいという要望のご相談がきっかけで、これまでいくつもの困りごとを一緒に解決してきました。地下鉄のエレベーターにつながる点字ブロック上に放置自転車が並び、歩行の妨げになって困っている、保育園の送り迎えで青梅街道を渡る際、特に雨の日は車の気配がわからなくなるため音声信号にしてほしいなど、切実な要望に寄り添いながら解決してきました。また、リニューアルされた区民センターのバリアフリーチェックを一緒に行い、こうだったらよかったのに、事前に聴いてほしかったという点を区に提案をし、その後の区立施設の改修時に当事者の意見が反映されるようになりました。

●昨年の5月から課題となっていたこと

去年お引越しをされ、駅から自宅に向かう際に、曲がる箇所の目印がないため間違えてしまうことがあるということで、その箇所に点字ブロックがつけられないかというご相談でした。

区にもすぐに相談しましたが、点字ブロックを新たに設置する際には、この道を他の視覚障がい者が利用していないかの配慮が必要だということ、つまり設置数が変わると混乱したり迷ってしまうなどの問題が起こるということを教えてもらいました。また、道路環境によって、なかなか簡単には設置できないという事情もあるようで、解決にとても時間を要しました。時間が経過すれば歩行に慣れる訳ではないことも当事者から聞きました。交差点や路地の数を数えながら進む中で、途中、いつもと違う状況があるとそちらに意識が向くため、数がわからなくなり、また、駅に戻って数えなおすこともあると聞き、早く何とかしなければと土木事務所に催促の連絡。この間、いろいろと検討をしてくださってはいたものの、半年以上経っても解決にまで至らず、職員にとっても苦悩の案件となっていました。そこで、一度、ご本人と一緒に駅からご自宅まで歩いてみることで何かアイデアが見つかるかもしれないのでやってみませんか、と区の職員に提案。ひとりで歩いていることを想定して、私と職員の人たちは後ろから黙ってついて行くことにしました。電柱にぶつかりそうになり思わず「危ない!」と声が出てしまいましたが、上手にかわし、ぶつかることもなくスルスルと歩く姿に驚くばかり。耳で周りの気配を察知しながら進む様子もよくわかりました。実際に同行させてもらったことで、たくさんの気づきがあり、職員の方も話で聴くだけでは知り得ないことがわかり、とても勉強になったとおっしゃっていました。

ただ、今回の場合、現地を調査しても、道路事情から点字ブロックを設置することがやっぱり難しく、さて、どうしようか・・・・

●これで試してみよう!

ちょうど曲がる角に雨水ますがあるので、その蓋を他と違うものに変えるのはどうか。コンクリート製から鋼鉄製にすれば、音や感触の違いから目印になるのではないかということで、100%解決ではないかもしれないけど、やってみようということに。雨水ますの蓋にはいろいろ種類があることも知りました。周辺にあまりないタイプに決め、翌日には早速対応していただきました。その翌朝、再び、私と当事者の方で現地を確認。曲がったところが正しかったのか不安になることがなくなり「一歩前進です」と言っていただき良かった~と思うと同時に、もっと早くにこうしていればと反省も残りました。

これまでも、いろいろ不安を抱えながら移動しているということを私も彼女からたくさん聴いてきました。白杖の方を見かけると、大丈夫かなと気になることも増えました。周りの人のちょっとした気遣いで助けられることもあると思います。高齢者の疑似体験の時も思いましたが、杉並をいつも当事者の立場になって考えられる優しいまちにしていきたいと改めて思う体験でした。