「香害をなくす議員の会」が発足
この間、幾度となく生活者ネットワークでは議会で「香害」について取り上げてきました。
「香害」とは柔軟剤や消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のこと。化学物質から作り出される強い香りによって頭痛やめまい、目やのどの痛み、咳、吐き気などの症状が起こり、「化学物質過敏症」を発症して重症化してしまうケースもあります。そのような問題が起こっているにも関わらず、連日、香り長持ちを謳った柔軟剤や合成洗剤、消臭除菌スプレーのCMは売る側の論理で垂れ流され、それを許している国の基準はどこを向いているのかと、私はいつも疑問を感じています。「香害」によって学校や職場に行けなくなるという深刻な問題。まちを歩けば、電車に乗ればと今やあらゆる場所で香りを閉じ込めたマイクロカプセルがはじけまくっている状態です。「香害」に苦しんでいる人が社会活動できなくなって困っていることを放置してよいはずがありません。
今年の1~2月に行った「香害をなくす連絡会」の調べによると、ここ10年間で議会質問に取り上げた議員は国会議員6人、都道府県議会議員24人、市区町村議会議員187人となっています。そんな動きもある中で、国は昨年8月に消費者庁・文科省・厚労省・経産省・環境省の5省庁連名で香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを作成しました。広く認知されつつあることは一歩進んだと言えるかもしれません。しかし、そこどまりでは本質的な問題の解決には程遠いと言わざるを得ません。
そこで、日本消費者連盟の呼びかけにより、「香害」問題に取り組む議員間で情報を共有し、自治体や国、メーカー等に有効に働きかけていくためのネットワークをつくり、「香害」をなくすために行動していくことを目指す「香害をなくす議員の会」が8月10日に全国73人の議員の参加によって発足しました。
当日は先進的にすすめている自治体の情報も共有。お隣の世田谷区の保坂区長も参加され、国会議員時代に起こった杉並病の問題や重度の化学物質過敏症の親しい友人に触れたことで、健康は何事にも代えがたい、反公害、産業の論理を変えていかなくてはならないとの発言が印象的でした。
この「香害」問題は様々な所管にまたがるため、全庁的に取り組んでいかなくてはならない問題です。杉並区でも生活者ネットワークの質問により、消費者センターのHPにトピックを立ててもらい、関連情報にリンクできるようになっています。それらを今一度検証し、よりわかりやすく、アクセスしやすくなるように引き続き区に働きかけていきます。