インクルーシブな地域社会をかたちにする その①
世の中にはさまざまな状態の人がいます。赤ちゃんからお年寄りまでの各年代の人たち、障がいや病気をもっている人、介護中の人、シングルマザー・ファザー、失業中の人、外国人…などなど、どんな状況にあっても誰も社会から排除されずにお互いを尊重し交じり合いながら共に暮らす地域を「インクルーシブな地域社会」と私は呼んできました。
「インクルーシブ(inclusive)」とは、「包みこむような、包摂的な」という意味の英語です。「あらゆる人が、孤立することも排除されることもないよう、社会の構成員として包み、支え合う」という考え方は、障がいのあるなしに関わらず同じ教室で学ぶ「インクルーシブ教育」の形にも表れています。
私がずっとかかわってきた生活クラブ生協の活動は、地域に必要な多様な機能を引き出し、その担い手を生み出しました。これからの自分たちの暮らし方をその仲間たちと議論する中で行き着いた「めざしたい社会のカタチ」が、「インクルーシブな地域社会」です。
一人の人を真ん中にして、最低限度の生活保障のサービスだけでなく、人間的に豊かな生活の実現を支援し、人権を保障するための多様なソーシャルサービスで支え合えたらいい。…福祉を直訳するとwelfareですが、目標としたいのはwell being*です。
インクルーシブな地域社会を目に見える形にする。その実行性を高めるために、これまで介護、子育て、障がい者など福祉の分野や食の分野などで実践を積み重ねてきた団体が集まって、中間的支援の機能と助成制度を持つ「生活クラブ運動グループ・インクルーシブ事業連合」を2012年3月に設立しました。私はその設立に関わり、初代事務局長として活動してきました。
*well being:個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念。幸福な状態、健康な状態。