杉並でも生かしたい カナダの子育て家庭支援策

カナダへ視察に行った生活クラブの仲間たちと 右が奥田雅子 2009年1月

2009年1月、生活クラブ生協の子育て支援事業に参考となる情報を集めるために、かねてより注目していたカナダの子育て家庭支援の視察に参加しました。

 カナダはもともと移民を積極的に受け入れてきた歴史から、多文化主義であり、異民族が共生してきたため非常に高い人権意識を持った国です。また、家族が健全であれば、おのずと子育ても健全に行われ、地域の活性化にも貢献するという考えに立っています。教育制度は州ごとに決められていますが、5歳児までを手厚くという政策は、連邦政府から州、市まで一貫した基本的な考え方になっていると感じました。

 予防型支援に力を入れ、「子どもに1ドルケチると将来7ドル余分にかかる大人になる」という格言には共感!  「子育て‘家庭’を支援」というのも大事

ファミリープレイス(親子ひろば)

な視点です。日本の場合、父親の子育て参加がすすんできたとはいえ、「子育ては母親」というイメージがまだ強いですが、カナダでは多くの父親が子どもの手を引いてドロップイン(日本で言う親子ひろば)に来ていましたし、おじいさん・おばあさん、シッターさんの姿も目立ちました。

 視察した先はFamily placeの3ヶ所、Neighborhood House1ヶ所と、いわゆる困難事例や特殊事情を抱える家庭をサポートする機関2ヶ所でした。いずれも、運営費のほとんどが国や州、市からの補助金で賄われています。そのほかにも企業や個人からの寄付も多く、子育てを社会全体の問題とするコンセンサスの高さがうかがわれます。

 Nobody Perfect Program(完璧な親なんていない)やMother Goose Program(赤ちゃんとお母さんのコミュニケーションツール)、Man in the Moon(子育てをする男性を対象)、Before and After School Care Program(働く親を持つ子どものために学校始業前と放課後のサポート)、Food Programs(親の料理スキルを育てる)、Family Nights(地域の家族が夜の会食を通して出会いつながる)など、切り口も対象も多様なプログラムが用意されています。子育て中の親をエンパワーするきっかけはたくさんあるに越したことはなく、カナダの取組みはその気になればすぐにでも日本で取り入れられるものばかりです。

 日本でも2015年4月から子ども・子育て支援新制度がスタートし、区は子ども・子育て支援事業計画をもとにさまざまな事業を実施していかなくてはなりません。カナダの取り組みを参考にしながら、地域にあったしくみづくりを行政に働きかけていきます。