生きるエネルギーがうまれる街ってどんなまち?
杉並区議会・都市環境委員会で藤沢市辻堂に展開されている「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(SST)」を視察。約19haのパナソニック工場跡地の活用として、藤沢市とパナソニックとの基本合意(2010年)を経た事業。両者の都市における低炭素化の取組みの実現に向け、新たな公民連携の視点から住宅及び様々な施設の「タウン・エネルギーマネジメント」が具現化されていました。コンセプトは「街の目指す姿とサスティナブル・スマートライフ~生きるエネルギーが生まれる街~」。生活に欠かせないエネルギーが生まれる街、人々に生き生きとしたエネルギー(活力)が生まれる街を目指すとしており、その実現に一役買っているのがマネジメント会社の存在です。住民を巻き込みながら一緒にまちづくりを提案するしかけが随所に施されていました。
例えば、太陽光パネルと蓄電池を標準装備とした戸建住宅では自分で使うエネルギーは自分たちの家で作り、無駄なく賢く活かすエコライフをサポートしたり、住民主体の自治組織「Fujisawa SST コミッティ」では住人誰もがネットワークを使った先端サービスを享受できるコミュニティ・プラットフォームでつながっています。EV車や電動自転車のシェアリングや集会所の予約などもオンラインでできる一方、イベントやお祭り、習い事の教室やエコに関する勉強会、さらには公園のかまどベンチやパーゴラを使った防災訓練などリアルな交流を通して住人や地域住民とをつなげる取組もなされているようです。また、特養やサ高住、保育園や学童クラブ、塾などが一つの建物やエリアに収まっていて、自然に多世代交流が生まれる工夫もされていました。
「ハコボ」というデリバリーロボットが焼き立てパンや野菜などをデリバリーをする実証実験中でまち中を動き回っていたり、通常、各宅配業者が個々に配達するところ、まちの一画にクロネコヤマトが運営する「ネクストデリバリースクエア」に各宅配業者の荷物が集められ、一括して住人に届けるシステムもおもしろい。まちを囲む歩道上にはコミュニティソーラーがずらりと並び、非常時は住人と周辺地域住民に電力を開放する取組みもあり。同じようなまちは杉並区では望めないとしても、ソフト的な要素としては今後のまちづくりに活かせるものもあるなと思いました。「人」を中心に置いた発想とプロセスでサスティナブルに進化させているまちは最終的には戸建住宅約600戸、中高層住宅約400戸、人口約3000人を想定しているとか。経年と共にこのまちがどのように移り変わっていくのかも興味があります。