めざせ稼げる体育館 ~富山市総合体育館を視察~    区民生活委員会視察②

リノベーションしたTTSの様子

10月末の区民生活委員会の行政視察2日目は富山市総合体育館のTOYAMA TOWN TREKKING SITE(TTS)の取組を視察。“閉じた体育館から外につながる体育館へ”をコンセプトに、これまでデッドスペースだった場所を街をフィールドとしたトレッキング活動の拠点機能にリノベーションし、市民のQOL向上を図るというもの。もともとこの総合体育館は富岩運河環水公園に隣接し、「コンパクトに魅力が凝縮されたまちなか」という環境特性や「住民の健康行動と地域経済の好循環」という行政目標がSSTの実現につながったようです。

リノベーションしたスペースには環水公園に通じるエントランスを設け、公園とのアクセスが容易に。また、カフェでは地元の食材やタニタ食堂の商品を扱い、タニタの運動管理、健康管理プログラムによる継続的な指導を提供、ジムコーナーやウォーキングやランニングに特化したショップもありました。シューズの品ぞろえが充実しており、ソールオーダーシューズも人気とか。このTTSがウォーキングやランニング愛好者のコミュニティの拠点として交流や情報の発信が図られているとのことです。

一方、総合体育館の状況についても視察。2000年の富山国体に合わせて建設された施設。延べ床面積28,681.97㎡とかなりの規模で、2つの大小アリーナ、フィットネスルーム、体操練習場、弓道練習場、ボクシング室、卓球練習場のほか、研修室や幼児室、医務室などが備わっています。特に、大アリーナは多様な用途にも対応できるよう、4面映像モニターやフリーWifiを設置し、プロバスケBリーググラウジーズのホームアリーナとして年間30回以上の試合を行い、安定的な収入を見込むとともに、他にもコンサートや東京ガールズコレクションの開催など高い集客力をあげています。

アリーナ使用料はアマチュア利用、プロ利用、興行利用と差別化し、興行には高い料金を設定しているとのことです。今後は収益をあげる基盤ができてきたことから、より収益性の向上と費用抑制につながるよう現在の指定管理から民間事業化に向けて検討しているとのことでした。いかにコストを抑え、収益をあげ、そのことが市民生活の質の向上につなげることができるか、課題はどこも同じだと感じました。

今回は総合体育館の運営という切り口からの視察でしたが、包括的な連携政策・施策による持続可能な都市の実現をめざしていること、そのため縦割りから脱却し、ひとつの“政策目標”を複数の“施策実施”で達成すること、ひとつの“施策実施”によって複数の“政策目標”に効果をもたらすことという富山市の考え方をお聞きし、施策の推進には発想豊かな柔軟な頭が要求されると思いましたが、他にも面白いことがたくさんありそうな富山市でした。