ダウン(羽毛)を循環させよう!

1/24河田フェザー㈱視察仲間とSDGs推進室長・黒田さん(右上)

ダウンジャケットや羽毛ふとんは軽くて暖かく、多くの方に重宝がられているアイテムです。でも、ダウンに使われる羽毛は水鳥のムネの柔らかい部分で1羽からはたったの10gしかとれません。現在ダウンは食用の水鳥の副産物としてしか利用ができないため、新毛として手に入れるためにはダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんで100羽の水鳥を食べなくてはならない計算になります。食用水鳥は世界全体の約75%を中国で消費し、残りの25%は西欧や日本で消費されています。しかし、中国でのダウン製品の需要の高まりや水鳥の生産性を高めることによる品質の低下、さらには鳥インフルエンザの影響もあり、今後、良質な新毛は手に入らなくなると言われており、リサイクルシフトが必然となっています。ダウンは意外にもとても丈夫で一生ものとも言われおり、新毛よりむしろリサイクル羽毛(グリーンダウン)の方が品質が良いとさえ言われています。

私が関わる環境まちづくりNPOエコメッセでは都内13店舗のチャリティショップを展開していますが、その内のいくつかの店舗でダウンジャケットや羽毛布団のリサイクルに取り組んでいます。杉並・高円寺のショップでも回収をしており、この度、提携先である三重県伊勢市にある河田フェザーを訪問し、リサイクルの様子を視察してきました。

●130年以上の歴史ある河田フェザー㈱

河田フェザーは明治24年創業というので、かれこれ133年の歴史ある羽毛専業メーカーです。国内で初めてダウンジャケットを生産販売したのもこの河田フェザー。新毛もリサイクル羽毛も両方扱っていますが、独自に設計された機械で徹底的に洗浄を行い、清潔・安全にこだわる厳しい基準は世界トップクラス。新毛はスペイン、台湾、フランス、ポーランド、ハンガリー等からダックやグースの羽毛を輸入していますが、保管から除塵、洗浄、乾燥、冷却除塵、最終選別、MIX、出荷までの工程をしっかりと見せていただきました。羽毛の精製には超軟水と湿気が少ない気候が向いていることから、その条件が手に入る明和町に現在の工場を構えたとのこと。

●グリーンダウンプロジェクト

国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に一般社団法人Green Down Projectを2015年に立ち上げ羽毛資源の循環に取り組んでいます。一社だけではできないことを、多くの企業と連携して羽毛を循環することで持続可能な資源として次世代に受け継いでいくために取り組んでいます。

回収してきた羽毛ふとんはダウンが占める割合ごとに20種類に分けられ、ふとんを解体して羽毛を取り出す作業は障がい者の雇用の場になっていました。一方、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点として連携した「ハートステーションプロジェクト」という取組みも始まっており、杉並でも、この循環の輪を広げられたらと思います。

杉並区では粗大ごみで回収してきた羽毛ふとんのリサイクルを昨年の10月から行っています。でも、ダウンジャケットなどは古布と一緒に回収に出されていると思われ、それらがどのように扱われているのかわからない状況です。そのため、資源として再利用するためには、別に回収するしくみが必要です。

2月9日から始まる第1回の定例議会では、今回の視察で得たことをもとに一般質問しようと思います。