ケアする人もされる人も大切にされる社会に~その①~

荻窪遊説にかけつけ、激励のメッセージを述べる岸本聡子区長と4/9

杉並区の高齢化率は現在、約21%です。5人に一人が65歳以上で、今後も高齢者人口が増えていくことは必至です。2040年ごろにはピークを迎え、高齢世帯の約57%がひとり世帯となると推計されています。

全国で約800万人いると言われている団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年は、4人に一人が後期高齢者となる計算です。これを「2025年問題」と呼んでいますが、超高齢社会が目前に迫っているということです。

高齢者が増えれば、介護を必要とする人が増え、それに伴って介護する人も増えることが必至です。ヘルパー不足については処遇改善が必要ですが、無償で家族などを世話する人=ケアラーについての政策も不十分であり、私はここに焦点を当てた話をしたいと思います。

生活者ネットワークでは都内23人のケアラーの実態調査を行い、私も調査に参加しました。ひとり一人に時間をかけて聞き取りをする形での調査はさまざまな問題を私たちに突きつけました。老老介護やダブルケア、ヤングケアラーなど多様なケアラーの存在もわかりました。

自分の睡眠時間も自由な時間も削られ、やりたいこともあきらめ、仕事を続けられなくなって離職した場合には経済的に苦しくなるなど、辛い状況に置かれているケアラーの実態が浮き彫りとなりました。

ケアの対象は高齢者ばかりではなく、障がい者や難病、依存症の人もいれば、ケアラーの状況も抱える課題も多様です。ケアラーを支援しなければなりませんが、そのしくみがありません。

介護を必要とする人には、例えば高齢者ならば、介護保険制度がありますが、介護する人を支援する法律はありません。埼玉県が全国に先駆けてケアラー支援条例を作ったように、ケアラーが自分らしい生活を取り戻すことができるように支えるしくみが必要です。