プロダイバーが語る海の中の話

2月25日の夜は、「ゼロカーボンシティ杉並の会」が主催したオンラインセミナーに参加した。「ゼロカーボンシティ杉並の会」は昨年、杉並区にゼロカーボンシティ宣言を求める陳情をした団体。私も署名集めに協力し、都市環境委員会での陳情審査にも取り組んだ。彼女たちの気候危機を何とかしたいという強い思いが議会にも伝わり、陳情は採択された。この度の都市環境委員会に報告された「環境基本計画」の改定案に明文化された「杉並区ゼロカーボンシティ宣言」が載り、そのこともセミナー冒頭に報告できたことは良かった。

そして、この日のメインはプロダイバーであり環境活動家である武本匡弘さんから、「海から見た地球~気候変動と海洋プラスチック問題~」をテーマにお話しを伺った。44年のダイバー経験を通して見えてきたこと。それは、サンゴの白化が1998年ごろを境に起きはじめ、ここ20年が最悪になってきたという。海の中の写真からも歴然と変化が見てとれた。地球上のサンゴはどんどんなくなり、子どもの目の前から未来が消えていくありさまに危機感を覚え、年商7億の経営者生活から一転、環境活動家になった武本さん。毎年、太平洋をヨットで探査し続けているからこその説得力あるお話と写真に愕然とする。私の実家は片瀬江の島地区にある。江の島の海も8年ほど前から磯焼けがひどくなり、昨年の写真ははげ山状態だと知り、海の底にまで思いを馳せ切れていなかったなぁとショックだった。国連環境計画の発表では2034年には地球規模でサンゴの白化が常態化すると言われているそうだが、日本周辺海域は2024年とさらに深刻だ。地球温暖化による海水温の上昇などがその原因に。1つの種の絶滅が生態系全体の崩壊の始まりになり、海の再生力を阻害する海洋汚染へとすすんでいく。とても恐ろしいこと。そして、海洋プラ問題もしかり。どこへ行っても必ずマイクロプラスチックが採取されるそうだ。

●さぁ、どうする? 7つの提言

1.起こっていることを包括的に知る

2.効果的な行動の選択(使い捨て容器の廃絶・パワーシフト・肉食から植物性たんぱくへ)

3.市民同士で学び、声を上げ続ける、行動する(大事なのは自分の目で目撃する!)

4.人に話す、集まりに人を誘う、環境教育は道徳ではなく科学で!科学をないがしろにする政治家は要らない

5.正しい情報を得る(SDGsの正しい理解、SDGsウォッシュに騙されるな!)

6.海外からの情報を得る(EU諸国などに比べ30年は遅れている日本の環境教育・環境政策)

7.環境活動家になろう!!(それ何?と言われてみたい)

武本さんは「エコストアー・パパラギ」の運営も行い、プラスチックフリー商品の販売やセミナーイベントや環境学習の講師など、幅広い活動を展開している。

「気候危機も戦争も若者の未来を奪う!」ロシアのウクライナ侵攻とも重なり、武本さんの言葉には心底共感する。できることを一つひとつ、行動していこうと改めて思う。