虐待する親=悪魔ではない!

生活者ネットワークもメンバーとして参加している「運動グループ地域協議会」の今年の新年交流会ではNPO法人チャイボラの代表大山遥さんから社会的養護や児童養護施設のおかれている現状について具体的なお話が沢山聞けました。チャイボラは2018年度の草の根市民基金ぐらん助成団体。当時の助成した内容は社会的養護下における施設の見学会・就職セミナー等の情報サイトの立ち上げ・運営でした。それからかれこれ3年、NPO立ち上げ間もないところから、3~5,000万円規模の事業になり、全国展開するほどに。今回のお話からも事業を次々バージョンアップし、相変わらずパワフルで実行力のある大山さんに感服です。最近ではメディアに取りあげられることも多く、「チャイボラ」の名前を聞いたことがあるという方もいらっしゃるかと思います。

◆相談件数20万件に対し社会的養護につながる子どもは4万人ちょっと

2020年度の全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した数は205,000件と年々右肩上がりの状況に対し、社会的養護の子どもたちは約43,000人。社会的養護にきちんとつながっているのかと気になるところです。

◆ほしいのはモノではなく人!!

大山さんは以前、学習教材の会社にお勤めで、廃棄されてしまう教材を知人が勤務する児童養護施設に寄付をしたいと申し出たところ、「ほしいのはモノではなく人なんだよ!」と返ってきた言葉にショックを受け、その1週間後に辞表を出して、児童養護施設の職員になると決めたとか。資格が必要ということも知らずに。それから、保育士の資格を取り、児童養護施設の職員に。日々、少ない職員で奮闘する様子は想像を絶する訳ですが、圧倒的な職員不足はなぜか。補助金に広報という項目はなく、人手不足だから施設からの情報発信力も弱く、そもそも学生に児童養護施設のことが伝わっていないという課題が。だったら、施設と学生をつなぐしくみをつくろうと立ち上がった大山さん。子どもに寄り添いたくてもできないジレンマが施設職員を疲弊させていくという深刻なお話は胸に突き刺さりました。NPO設立の翌年には「チャボナビ」という社会的養護総合情報サイトを立ち上げ、現在、都内の児童養護施設の9割が登録をしているとのこと。「チャボナビ」で採用が決まった実績も今年は100人を超えるのではないかと効果が表れているようです。そして、昨年1月には児童養護施設職員のためのチャット形式の相談窓口を立ち上げ、2月にはオンライン研修を月2回のペースで行うなど、ご自分の経験も活かしながらしくみを生み出すパワーはすごいものがあります。

◆子どもたち一人ひとりが大切に育てられる世の中をつくる!

虐待を受けてきた子どもにとって、自己肯定感を回復させることが必要で、「自分が大切にされている、生きていていいんだ」と思えると、人も大切に思えるようになる。心に安全基地ができると、何かを学ぼうとか、挑戦しようとか、誰かのためになろうと思えるようになる。そのためにチャイボラは「子どもたち一人ひとりが大切に育てられる世の中をつくる」ことを理念に活動をしており、大山さんのお話からは子どもやその親へのまなざしの温かさが伝わってきました。虐待した親が悪いと世間は言うけれど、その親にも虐待をしてしまう背景があるはず。そこを見ずに批判だけしていても根本解決にはならないと。施設にいる子どもは親の話をよくするそうです。自分が思い描きたい親像に美化して話をする。親も子どもを思い、会いに来たり電話してきたりするそうです。それなのに、なぜ、虐待が起きてしまうのか。家族内だけの問題にしてはいけないということだと思います。施設職員はできることなら実親の元に戻したいと思いながら、子どもの最善の利益を考えながら力を尽くしているのに、周辺の心無い言葉一つで子どもを傷つけ、それまでの取組みを台無しにしてしまうこともあるとか。「虐待する親=悪魔ではない」という大山さんの言葉がとても印象的でした。