東京の山“MOKKI NO MORI”を訪ねる
私が関わっている環境NPOエコメッセの活動で檜原村の山の視察に行ってきました。案内をしてくれたのは檜原村を拠点に山仕事をする「東京チェンソーズ」の青木代表。会社の理念に掲げるキャッチは“東京の木の下で、地球の幸せのために、山のいまを伝え、美しい森林を育み、活かし、届けます”。まさにそのことを実感する1日となりました。
日本の国土の約7割が森林なのに、私たちの暮らしと森林は遠い存在になってやしないか。昨今の異常気象による大雨で土砂災害を起こし、人々の暮らしに甚大な被害をもたらすように、実は私たちの暮らしと密接なかかわりを持っている山・森・林。山を人々の暮らしを壊す凶器にしてしまったのも人間だと改めて思う。森の動物や二酸化炭素の吸収など、山が地球上の生き物にとってもとても重要な存在。山のことを身近に感じる感性が必要だと感じました。
青木さんたちが管理する山“MOKKI NO MORI”の‘MOKKI’とはフィンランド語で小屋という意味。たくさんの人に来てもらって、自然に良いことを一つでもして帰ろうというコンセプトのもと、ワークショップができる小屋とおがくずトイレが設置されています。次にはトイレをバージョンアップするため縄文トイレに挑戦とか。
93%が森林という檜原村。東京とは思えない環境です。林業はもともと炭焼きで広葉樹中心でしたが、戦後はげ山になり、復興のために建材に適したスギやヒノキが植えられてきたとのこと。しかし、高度成長を支える木には成長しきれなかったため、結果、外材に頼ることになり、木材価格も低迷し、林業離れが進んでしまったという経緯を知りました。一度、人が手を入れた山は、継続して手を入れ続けないと山が荒れてしまいます。密集している林を間引きして、太陽の光が入るようにすることで下草が生え、木の根もはり、健全な山に。東京チェンソーズでは、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられる「FSC認証」という国際的な森林認証制度を取得しています。これまで規格化しやすいスギやヒノキなど、効率重視でやってきたけれど、これからは多様な森づくりが重要であり、環境的には混合林を目指しているとのこと。案内してもらった山もここからは広葉樹だよという具合に、ここは木の在庫倉庫さながら、お客さんに来てもらって、自分の目で選んでもらえるように、消費者と顔の見える関係をつくりたいという青木さんたちの思いに触れ、私たち消費者の立場からもきちんと自然の循環を考えていかなくてはと強く思いました。
檜原村では木のおもちゃの街として産業化しようと、この秋に「檜原森のおもちゃ美術館」がオープンします。エコメッセもこの美術館づくりを応援しています。美術館の隣には檜原村の森林資源を活用したおもちゃ工房もあり、現地を見学させてもらい、ますます秋のオープンが楽しみになりました。