2020年第1回定例会報告③

statement_leafletのサムネイル認知症でも希望 叶えたい

認知症は“なったらおしまい”とネガティブなイメージで語られがちですが、昨年、国が認知症施策推進大綱で認知症とともに希望をもって生きる、暮らしと地域を創るというポジティブな考え方を示しました。認知症本人が思いを発信し社会参加できるよう支援する取組みに期待しつつ、区の状況について質問しました。
この質問をしたきっかけは、今年2月7日に認知症介護研究・研修東京センターが主催した「認知症の人による社会参加活動推進フォーラム」への参加でした。2018年度から全国市区町村で配置されることとなった「認知症地域支援推進員」の取組み事例が紹介され、とても興味深いものであり、参考になりました。

岩手県矢巾町の事例では「認知症になっても希望をもって生活ができるまちづくり」をコンセプトに認知症本人が思いを語るイベントや認知症本人自らが言葉を紡いだ「認知症とともに生きる希望宣言」を行うなど本人の主体的な社会参加を町ぐるみで後押ししていました。

また、和歌山県御坊市では、介護福祉課職員が認知症地域支援推進員として認知症本人とともに地域社会のバリアフリー化を進める活動は、本人の声に耳を傾け、何に困っているのかを把握し、小さなことだけど町の中のバリアを一つひとつ改善していく取り組みで、とても参考になるものでした。

これまで、私も認知症本人より、本人を取り巻く支援の在り方ばかりに気が向いていたなと気づかされました。区においてもこの間の認知症に関する講座などの実施内容を見るとやはり、区民全般に対する普及啓発や介護者・支援者が学ぶものばかりで、認知症本人に目を向けた企画は見当たりませんでした。今後は杉並でも認知症本人にスポットを当てたイベントや当事者目線による困っていることを解決するしくみづくりに取り組んでいくことが必要ではないかと考え、そのきっかけとして「希望宣言」や「認知症本人大使」のような当事者の力を引き出す取組みに対する区の見解を質問。
区も認知症本人やその家族の声を最大限尊重する姿勢を大事にしており、地域版認知症ケアパス⁽*⁾作成時に認知症本人の声を反映させ、在宅医療推進連絡協議会・認知症対策部会には当事者の家族が参加するなどの取組みをしているとのことでした。さまざまな施策に「認知症でも希望をもって暮らす」という視点が活かされ、さらに広がっていくためにも、認知症本人が言葉を紡いだ「認知症とともに生きる希望宣言」の活用や条例制定を求めました。

【認知症ケアパス⁽*⁾】認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう医療・介護の各種サービスをまとめたもの。