子どもの権利を保障する~西東京市に学ぶ~①
昨年は国連で子どもの権利条約が採択されて30年、日本が批准して25年の年。条約の基本理念にある4つの一般原則は①差別の禁止②子どもの最善の利益③生命・生存・発達の権利④子どもの意見の尊重。
しかし、日本は国連から何度も改善勧告を受けており、特に子どもの権利保障には未熟な国と言わざるを得ません。子どもの権利というと、ますますわがままになるのではないかとか甘やかしにつながるのではないかという声が聞こえてくるのも、その表れではないでしょうか。
子どもは親の所有物ではなく、独立した人格として尊重され、社会の一員・構成員であるという考えのもと、生活者ネットワークでは、これまでも子ども施策に対しては子どもの権利を念頭に置きながら考え、取り組んできました。区はその考えに基づきすすめているといつも答弁しますが、区長や担当が変わっても子どもの権利が保障されるためには子ども(の権利)条例の制定が必要だという考え方には後ろ向きです。
現在、都内で子ども条例を制定しているのは目黒区、豊島区、小金井市、世田谷区、日野市、調布市、西東京市。江戸川区が検討を始めています。
1月21日に都内の生活者ネットワークの議員など11名とともに、2018年9月に制定された西東京市子ども条例制定と子ども相談室「ほっとルーム」について、お話を伺ってきました。
西東京市は10年ほど前にも子ども条例の機運が高まったものの、制定に至らなかったようで、ある意味今回の条例制定はリベンジでしょうか。2016年の児童福祉法改正で法の理念として子どもの権利擁護が位置付けられたこと、市長の条例制定に向けた明確な意思が示されたことが背景となって、2017年8月に子ども条例策定庁内検討委員会が設置され、条例づくりがスタートしたとのことです。その後、同月下旬には西東京市子ども子育て審議会に諮問され審議会のもとに人権擁護委員や主任児童委員、小学校長、学識者、児童養護施設関係者などの方々をメンバーとする子ども条例検討専門部会がつくられ、約8か月11回の会議で検討が重ねられたようです。そこでは条例に関する調査・検討のほか、徹底した子ども等への意見聴取がなされています。パブコメも子どもの意見表明・参加の視点から、子ども向け資料作成や市のHPのキッズページでの掲載など、行われていることが素晴らしいと思いました。西東京市議会においても全会一致で可決されたと聞き、杉並だったらどうだったろうと頭をよぎりました。