保育園保護者の負担の公平性を考えよう 保健福祉委員会報告②
第4回定例会の保健福祉委員会では杉並区立子ども園および杉並区保育料等改定の議案も諮られました。改定内容は
- 保育料体系をこれまでの3歳未満児/3歳児/4歳以上児から0歳児/1・2歳児/3歳以上児の区分にする
- 高所得世帯約2000万円以上の階層を2階層新設
- 非課税世帯にもおやつ代程度の負担を求める(ただし、ひとり親世帯は0円)
- 0歳児は約2割、1・2歳児は約1割、3歳以上児は約1~3割の保育料アップ(但し、0歳児は激変緩和策として2019年3月31日までは1・2歳児の保育料を適用)です。
杉並区は前区長時代に認可保育所を1園もつくってこなかったことから、認可保育所の整備率が23区内20位と、かなり立ち遅れている状況でした。女性の就業率は高まり、就学前人口の増加により保育園待機児童の増加が大きな課題で、区の保育室や認証保育所などで乗り切れる状況ではなくなっています。そのため、2012年度から認可保育所の整備をすすめてきましたが、今年の4月に500名以上の待機児童が予測されたため、昨年度は待機児童解消に向けて「すぎなみ保育緊急事態宣言」を行い、2300名以上の大幅な定員確保を実現し、これまでの認可保育園定員数を倍増させました。
待機児童ゼロにはならなかったものの29人と最悪の事態は回避できました。しかし、一方で認可保育所の増設や運営費加算、認可外保育所の保育料や運営費補助、保育士等のキャリアアップ補助などなどが財政的に大きく膨らんでいます。認可保育所を運営するための経費は2016年度施設整備費等を除いても約173億円になっています。それに対して保護者の保育料負担は約20億円。負担率は11.6%で88.4%は税金で賄われているわけです。杉並区は1997年から大幅な保育料の見直しを行っていないため、ほぼ20年前の保育料のままということになります。
保育にかかる経費は園児一人当たりの年間0歳児で約370万円、1・2歳児で約280~300万円、3~5歳児で約190万円。保育料は所得に応じて区分されている国基準を上限額として区が決定します。例えば700万円の年収世帯の場合、国の基準では0歳児61000円以内、5歳児58000円以内と定められていますが、現在の区の保育料は0歳児27500円、5歳児18000円となっています。本来、国の負担率をもっと高めれば自治体の負担も軽減され、結果保護者の負担も減るはずです。保育料の無償化の話もありますが、本当にどこまでできるのか疑問です。
改めて利用者間の負担の公平性を確保し、今後の持続可能な保育事業を考えたとき、応能性、応益性という観点に立てば所得水準が比較的高い杉並区の保育料の見直しは必要だと考えます。一方で、所得が低い層への福祉的配慮についてはきちんと対応していくことが必要ですが、今回、これまで保育料がかからなかった区民税非課税世帯にもおやつ代程度として月に900~1400円の負担をお願いすることとなります。保育がしっかりと保障されるならば多少の負担は納得するというその対象となる保護者の声もあり、私も気持ちが少し軽くなりました。
今後、保護者への周知と理解を求め丁寧な対応を区には徹底してほしいと思います。いのち・平和クラブとしてこの保育料見直しの議案には賛成しました。