すべての子どもに居場所がある学校 “みんなの学校”
ずっと観たいと思っていた“みんなの学校”上映会に行ってきました。大阪市立南住吉大空小学校、普通の公立小学校、それも開校してまだ6年という新しい学校のドキュメンタリー映画です。
大空小学校は2012年度の児童数約220人の内、特別支援の対象となる児童数は30人を超えていますが、みんな同じ教室で学んでいます。どんな子も排除されることなく平等に学ぶ権利が保障され、すべての子どもに居場所がある、まさに子どもを中心に置いた子ども目線の教育を実践している大空小学校は、観る者をとても爽快な気持ちにしてくれますし、大空小学校に関わる全ての人たちにあっぱれと言いたくなります。
他の学校では手に負えず、校長からの申し送り事項も大変厳しいような子が転校してきて、身構える先生方。しかし、そのような心配は見当たらず拍子抜けの様子。どんな子も受け入れる空気に学校全体がつつまれているからなのでしょう。子どもへの愛が満ち溢れた女性校長を筆頭に、先生方のチームワークで子どもたちを見守る取り組みは特別支援を必要とする子どもをはじめ、その周りの児童たち、新米の先生、地域の人、そして親へと良い循環を作り出しているのです。
「不登校ゼロ」をめざし、登校してこない子がいれば、手の空いている先生が自転車で迎えに行く。子どもの気持ちに寄り添い、受容と共感を織り交ぜながらその子が成長するのをじっと待つ。色々な人がいてあたりまえ、でっぱりやへっこみをお互いカバーしあえる関係性を築いていく、これぞ人間教育の基本だろうと思います。今の学校現場ではそのことがどこかに置きざりにされてしまっているように感じています。学問も大事だけど、それ以前にもっと大事なことを忘れているのではないかと、そんなことを考えさせられる映画です。
そして、この映画に関心を寄せる人の多さにもうれしくなりました。夏休み中ということもあり子ども連れの親子や男性の参加も目立ち、会場はあふれんばかりの参加者でいっぱいでした。学校とはどうあるべきなのか、学校当事者以外の人も含め地域全体で考えるきっかけにしていきたいと思いました。一人でも多くの人に観てもらいたい、そんなドキュメンタリー映画です。