誰のための原発再稼働か? 

震災後から南相馬市JR常磐線小高駅に置きっ放しの近隣高校生の自転車  小高ー浪江間はいまだに運休している

7月の半ばに観た被ばくから子どもたちを守る母たちのドキュメンタリー映画=鎌仲ひとみ監督の最新作「小さき声のカノン-選択する人々」、8月の7・8日に杉並区議会の女性議員視察で訪れた福島県南相馬市と飯舘村、そして、8月11日に再稼働し、14日に発送電を開始した鹿児島県川内原発。先月から「放射能」問題に触れるにつけ、気持ちがざわついるところに、さらに桜島の噴火レベル4のニュース。川内原発1号機は桜島から50キロほどしか離れていない。原発再稼働に桜島が怒っている!そうとしか思えないタイミングです。

 自然も原発事故も人間がコントロールできない最たるもの。東京電力福島第一原発の事故後作られた新しい規制基準に適合したからと川内原発の再稼働を政府は許した。どんな厳しい基準を設けたとしても、絶対安全はないことは福島をみれば明らかです。

  南相馬市では今も地域や家族が分断され、気が遠くなる除染作業が続き、まちのいたるところに除染された土などを入れたトンバックが山積みされ、まだ決まらぬ処分場への移動を待っています。福島第一原発から20キロ圏内は日中の立ち入りは許されるものの居住はできず、まちは人影も犬も猫も見かけない。そんなゴーストタウンのようになったまちで、電車も通らぬ小高駅前の花壇に花を植える人の姿に心が痛みました。

  「小さき声のカノン」では自主避難はせず福島で暮らし続けることを選択した家族を中心に、子どもたちを被ばくから守るための親たちの奮闘を追っています。2011年に可決された「子ども被災者支援法」は原発事故で放射能汚染された地域から避難する権利や子どもたちを保養させる義務など多岐にわたる放射線防御の対策を法制化したもの。2014年に初めて3億6000万円の予算がついたということだが、福島県内の18歳以下は36万人、一人当たりにすればたったの1000円。その中で保養が出来ている子どもは7000人程度。2015年2月の検査では112人の子どもに甲状腺がんが見つかっており、手術した子どものうち46%にすでに転移が見られたこともわかっていて、今後ますます子どもの保養が重要になってくると鎌仲さんは訴えます。市民レベルの保養企画は色々と行われているが、保養には一定の期間や継続に意味があるため、どこも資金面で厳しい状況にあるという。子どもの保養にきちんと国の予算がつく仕組みが必要です。

 福島のことも解決しないまま原発の再稼働をすすめようとする日本の政府。安倍さんが一言「原発やめましょう!これからは自然エネルギーです。」と言えば業界は一気にそちらの向くはず。なのにそうしないのには…誰のための原発なんでしょうか。