子どもたちを「香害」から守ろう!!

生活者ネットワークの仲間たちと

「香害」=何度か取り上げていますが、香料入り洗剤や柔軟剤などの生活用品から発せられる人工化学物質によって、頭痛や吐き気、倦怠感、動機、呼吸困難などの症状を引き起こされるケースが増加し社会問題になっています。こうした問題を受けて、2022年に発足した全国の自治体議員で構成する「香害をなくす議員の会(以下議員の会)」は各自治体の取組の共有やメーカーや国への要請行動など行ってきました。「議員の会」に参加する地方議員の数も当初から1.5倍に増え、今年7月の段階で151名にまでになったことからも問題の深刻さがわかります。

昨年5月~今年3月に日本臨床環境医学会と室内環境学会(共に環境過敏症分科会)が実施した『子どもの「香害」および環境過敏症状に関する実態調査』に「議員の会」も協力し、この度、調査の中間報告が出たため、文部科学省に対して「子どもの香害への対策要望書」を8月20日に提出。その記者会見&院内集会を同日開催し、オンライン含め160人が参加。議員だけでなく、化学物質過敏症当事者の一般参加もあり、今、学校現場で起こっている問題;洋服から髪の毛、ランドセルまで柔軟剤のニオイを体中にまとって帰ってくるのを何とかしたいという保護者の訴え、中三の女子から小学生の時に化学物質過敏症を発症し、学校と病院以外は行けなくなった。学校も別室での自習で行事にも参加できない、教室から子どもを追い出すのではなく香料や化学物質を追い出してほしい!!!という切実な訴えがあり、教室の空気環境の悪化が想像以上に広がり、子どもたちに与える影響がとても心配になりました。もはや特殊な子への対策で済ませてよい問題ではないと思います。

●調査から見えてきたこと

今回の全国の園児含む小中学生約1万人の調査では8.3%の子ども(小中学生では10.1%)が香害被害を受けていることが明らかになりました。年齢が小さい子どもは保護者が応えるケースが多く、年齢が上がるにつれ本人が回答するため割合も増える傾向にあるようです。化学物質過敏症の原因物質として挙がったのは、ダントツたばこの煙ですが、特定の香料、柔軟剤、制汗剤も上位を占めています。受動喫煙対策は進んだものの、なぜ、香害の問題には踏み込めないのか…国はせいぜい5省庁(消費者庁・文科省・厚労省・経産省・環境省)連名の啓発ポスターをつくったくらい。まったく規制する気はありません。毎日、流される柔軟剤や消臭剤のテレビコマーシャルを放置し、子どもの健康より事業者を優先する国の姿勢には怒りを覚えます。

●紅麹の問題で即回収できたのになぜ?

紅麹を使ったサプリで健康被害や死亡者まで出た事件があり、メーカーの自主回収だけでなく、法改正もされるなどの措置がなされました。日本は食品には予防原則が働くが、家庭用品には予防原則という概念がなく、技術に対するチェックもないということです。成分表示は企業秘密だとか。しかし、消費者運動で化粧品の全成分表示を勝ち取ったように、表示問題にも同時に取り組んでいくことも必要だと改めて思いました。でないと、いつまでも国に発生機序がないからと逃げ続けられてしまうことになります。

成長期にある子どもたちが毎日大量の化学物質に曝露し続けたその先を考えると、取り返しがつかなくなる前に何とかしないとと思います。