子どもの権利擁護に関する審議会がスタート

国連の子どもの権利条約に日本政府が批准したのが1994年。それより1年早い1993年に生活者ネットワークでは東京都に子どもの権利条例の制定を提案。それから30年。なかなかその必要性が理解されずに来ましたが、2021年3月に東京都こども基本条例が、2022年6月にこども基本法が成立。今年2023年には省庁縦割りを排したこども家庭庁が創設されるなど、子どもの権利保障の流れに、“やっと”感はするものの、歓迎する気持ちでいっぱいです。

そんな中、杉並区では2021年10月に策定された、基本構想の子ども家庭分野の将来像に「すべての子どもが、自分らしく生きていくことができるまち」が掲げられ、その実現のための取組の方向性の一つに「子どもの権利を大切にし、子どもが主人公となるような取組を進める」と「子どもの権利」というワードが真っ先に謳われました。実際に子ども施策を推進していくのは基礎自治体である杉並区。そのための根拠としての条例を制定することはとても意義のあることです。2000年の川崎市子どもの権利条例を皮切りに、現在、全国64の自治体が総合条例として制定しており、都内では8区市(目黒区・豊島区・小金井市・世田谷区・西東京市・江戸川区・中野区・武蔵野市)。杉並区が都内9つ目の自治体になれるのか、期待が膨らみます。杉並区における子どもの権利に関する条例制定を見据えた、子どもの権利擁護の考え方や区・地域団体・事業者等の役割、相談支援の仕組みなど、子どもの権利擁護をより一層推進するために必要な方策について話し合うことを諮問された審議会が昨日8月28日にスタートしました。メンバーは14人。当初区民公募枠は3人くらいと聴いていましたが、5人の方が委員として参加。30人ほどの応募があったとのことで、区民の関心の高さがうかがえました。そのほか教育、福祉等に関する団体関係者として、小中PTA連合協議会、小中学校長会、民生児童委員協議会、人権擁護委員協議会、児童養護施設・乳児院等連絡会からの委員が、そして、学識経験者は東京経済大学教授の野村武司さんと上智大学准教授の新藤こずえさん。数々の自治体で条例策定にかかわってこられた経験豊富な野村先生が会長となり、第1回目の審議会はすすめられました。子どもの意見表明の場をいかにつくれるか、大人の都合で「意見をもらいたい」ではなく、子どもたちの都合に合わせて大人が聴きに行くという姿勢が大切であり、子どもの意見表明の機会があらゆる施策に位置付けられることが当たり前のカルチャーをつくっていくという話が印象的でした。そして、子どもの権利に関する条例は必要だということも委員の一致した意見となり、それを前提に審議をすすめて行くことも確認されました。今後、全7回の審議会を経て2024年6月ごろに答申が出る予定です。生活者ネットワークでは、子どもチームを立ち上げて、この間、子どもの権利についての学習会を重ねてきましたが、引き続き審議会の議論の行方をウォッチしていきます。