安心して認知症になれるまちがいい!

朝の通勤の人にむけて政策を訴える 西荻駅南口で4/10

福岡県大牟田市で実施されている、認知症の人を地域全体で支える取り組みは全国的に有名です。5年前に私は、福岡県大牟田市の「徘徊SOSネットワーク模擬訓練」に生活クラブ運動グループの仲間と参加したことがあります。他の自治体関係者もたくさん参加していました。

 小学校区ごとに地域住民やコンビニ・商店、郵便局やタクシー・バス会社、行政や警察・消防などがネットワークするという取り組みは、当時とても新鮮でした。行方不明になった認知症の高齢者が亡くなるという事故をきっかけに始まったそうですが、制度や体制をつくるだけでなく、毎年模擬訓練を重ねることで地域住民の認知症への理解が深まり、年々、行方不明者の捜索数が減ったということです。捜索に至る前に地域の人によって保護されるからです。

 素晴らしいと感じたのは、徘徊=NO!ではなく“安心して徘徊できるまちづくり”の実践が学校教育の中に位置付けられていることです。訓練には高専の生徒や先生も参加していました。子どもの時から認知症について正しく学び、当事者とふれあうことはとても重要な体験です。

 この大牟田市地域認知症ケアコミュニティ推進事業で、こんな町にしたいという市民や子どもたちの声をもとにつくられた5つのスローガンをご紹介します。

1.わがまち・わが校区を安心して徘徊できる町にしよう!

2.まちがって声かけても、笑いあえる町がいい!

3.認知症、知っているのが当たり前の町をつくろう!

4.日頃から声かけあえる地域力を高めよう!

5.実効力の高いネットワークに育てよう!

 これらの実現に向けた行動計画があり、徘徊模擬訓練もその一環に位置づいています。「安心して徘徊できる町」にする、という発想、認知症を肯定的にとらえるそのまなざしの優しさに学ぶところ大です。