佐々木千夏議員のアイヌ差別発言に抗議
3月12日第1回定例会最終日、議員17名の連名で、正理の会・佐々木千夏議員の予算委員会におけるアイヌ差別発言に抗議し、撤回を求める要望書を手渡しました。
発端は3月3日の予算委員会で「日本にはアイヌ差別や虐殺の歴史がなく、鎌倉時代に日本に渡来した人々であり、先住民ではないにもかかわらず、アイヌ新法に3百億円も投じられております」とアイヌ民族の歴史を歪める事実無根の発言を行ったことによります。アイヌ民族に対する冒とくであり、私たちの抗議に、「北海道に縄文遺跡はないのは事実です」と述べ、「撤回はしません」「多数で脅している」「セクハラだ」などとまったく認めようとしません。
北海道の縄文遺跡群は、世界遺産登録を目指し、2020年9月にはユネスコの協力機関である国際記念物遺跡会議の現地調査を受けていることは周知のことです。「北海道に縄文遺跡はない」などとアイヌ民族の存在を否定する差別発言は断じて許せません。怒りを込めて抗議するものです。
要望書
予算委員会における佐々木千夏議員の発言に抗議し撤回を求めます
杉並区議会議員 佐々木千夏様
3月3日の予算委員会の審議の中で、佐々木千夏議員がまたも民族を差別する見過ごすことのできない発言を行いました。内容は、「日本にはアイヌ差別や虐殺の歴史がなく、鎌倉時代に日本に渡来した人々であり、先住民ではないにもかかわらず、アイヌ新法に3百億円も投じられております。」とアイヌ民族を冒涜する事実無根の発言でした。
直後に議長から、発言の一部の撤回を求められ、いったんは「わかりました」と撤回を認めたものの、所属する団体の指示を受けたためか「表現の自由」を口実に撤回を拒否し、10日の意見開陳でも同様の発言を行いました。
「日本にはアイヌ差別や虐殺の歴史がない」と差別の事実を否定すること自体がヘイトスピーチです。ヘイトスピーチを「表現の自由」とするヘイト団体の抗弁は、この間の京都朝鮮学校や大阪のヘイト裁判で認められず、人種差別撤廃条約の趣旨に反する民族差別として、いずれもヘイトスピーチに損害賠償が認められています。
2019年4月、「先住民族」と初めて明記した「アイヌ新法」が制定されました。「アイヌ文化振興法」に代わって、差別の禁止を定め、観光や産業の振興を支援する新たな交付金制度の創設などが盛り込まれました。参議院国土交通委員会では、「近代化の過程で多くのアイヌの人々が苦難を受けたという歴史事実を厳粛に受け止める」ことなどを盛り込んだ付帯決議が、全会一致で採択されています。
佐々木議員の発言は、アイヌ民族の苦難の歴史を否定し、アイヌ新法制定に至るまでの政党の違いを超えたすべての方々の努力を踏みにじるものです。またも繰り返された民族差別をあおる杉並区議会での発言を認めることはできません。ここに佐々木議員に対し強く抗議するとともに、直ちにこの発言の撤回を求めます。
2021年3月12日