コロナ対策にはPCR検査と抗体検査、そして疫学調査で全容把握を!

新型コロナウイルスの感染が全国的にも広がり、夏には収まると思われていたのに全く違う展開になってしまっている。終息もしない中、国はGo Toトラベルキャンペーンを、あろうことか前倒しまでしてスタートさせた罪は重い。毎日、テレビにネットにと様々な情報が飛び交う中、何が正しいのかを見極めるのはとても難しい。世界中の誰もが初めて経験するウイルスのため、わからないことも多く仕方ないことだとは思うが、政府や東京都の対策には首をかしげることも多い。

そんな中、練馬区の仲間たちが企画した新型コロナウイルスについてのオンライン勉強会に参加した。講師は健康情報研究センター代表の里見宏さん。公衆衛生学のエキスパートだ。お話はまず、「感染者が増えるのは予防法が間違っている」ということから始まった。感染症は感染者のコントロールに尽きるということで、非感染者のコントロールは二の次だと。全体の感染者数がわからないと行政としての対策ができないため、PCR検査と抗体検査が重要になる。集団感染は感染経路を知ることが予防にとって必要な情報だということで、感染者Aは誰から移されたのか、その人はA以外にも感染を広げていないのか、さらには、その人は誰から感染したのかと突き詰めていくことで発生源や地域などが絞り込まれて行って、感染予防ができるとのこと。

1999年に国は伝染病患者の隔離政策など、多大な人権侵害をしてきたことを反省し、新感染症法を制定した。集団予防ではなく、個人の感染予防と良質な医療があるので予防ができるとし、流行が起きてからの予防ではなく「感染症発生動向調査」と「基本指針と予防計画」と「特定感染症予防指針」の3本柱で事前に予防できるとしていた。ところが、それが今回のコロナ禍では全然機能しなかったことが露呈した形だ。公衆衛生から予防医学への流れの中、公衆衛生の担い手であった保健所もどんどん減らされ、1994年に848か所あったものが2019年には472か所になってしまったことも今回のコロナ禍の混乱の一因でもあるとのこと。同時に感染症対策にたけた人材の不足にもつながっている。保健所の機能の再構築が必要だ。

ワクチンさえできればと期待が高まるが、本当にそうだろうか。従来、数年かかるといわれるワクチン開発を、コロナの場合、期間短縮できる新しい技術による開発も進められているようだ。まだ、できてもいないワクチンを大量に先物買いをする厚労省。効果や安全性は大丈夫なのか。ワクチンは良いものと考えている人は多いが、それは間違いと先生は断言します。ワクチンは害作用が出ることを前提に、その害作用が可逆的かそうでないかを安全の目安としており、その人の状態によってその症状の表れ方はいろいろです。子宮頸がんワクチンによる副反応の現実を知れば、安易にワクチンに飛びつくのは危険だと思います。また、コロナは腸管でも増えることがわかってきて、そういうウイルスのワクチンは作りにくいと言います。ノロウイルスのワクチンもないのはそういうことかと。インフルエンザも、ワクチンがあったからと言って無くなりはしないわけで。人や動物にもうつるウイルスの絶滅はあり得ないとも伺いました。

疫学調査を放棄してしまった国策が国民を苦しめているということです。抗体検査をどうしてもやりたくない、全体像を見せないことで不安をあおり、ワクチンに向かわせようとしているのか。ワクチン開発の本当の目的が、国民のためでないとすれば、それは大問題である。国がやらないのなら、基礎自治体でも抗体検査とPCR検査と疫学調査によってコロナ感染者の全体像をつかんだ上での対策が必要だということを訴えていきたいと思う。