区民検診の肺がん見落としを二度と繰り返さないために!!
杉並区内の医療機関が実施した区の肺がん検診において、肺がんの見落としが明らかとなり、7月17日に区と区ががん検診を委託している医師会、当該医療機関の3者で合同記者会見が行われました。メディアにも取り上げられましたので、ご存知の方も多いかと思います。今般、この事案を受けて8月21~22日に臨時区議会が招集され、杉並区肺がん検診外部検証等委員会条例とそれにかかわる補正予算の議案が諮られました。条例議案は私の所属する保健福祉委員会に付託され、本日、委員会が開催されたところです。
今回の見落としにより、当該者が亡くなるというあってはならない事態が起こりました。ご本人・ご遺族のお気持ちを考えるといたたまれない思いでいっぱいです。お亡くなりになられた方のご冥福を心からお祈りいたします。
今回のこの事態を区は重く受け止め、完全外部の中立的な立場の学識経験者(がん検診専門家・画像診断専門的知見のある方・公衆衛生分野に知見のある方2名)4名をメンバーとする「杉並区肺がん検診外部検証等委員会」を区長の諮問機関として立ち上げ、今回の事案に関する事実関係の解明を徹底的に行い、そこから明らかになった問題点を今後の再発防止策に活かしていくことを検討していくというものです。区も検証される立場として内部ではなく独立・中立な機関をつくることについて、本気でこのことに取り組もうとしている区の姿勢が伝わってきました。
この事案の発生の背景には、2013年度に区民の健康の確保及び増進のための区民検診およびがん検診の受診率向上を図るためにがん検診の自己負担金の引き下げや個別受診勧奨を行った結果、2013年度は4687人だった受診者が翌年2014年には22593人と約4.8倍に増えたことにも一因があります。これまで区は医師会を通じて、区内144の指定医療機関にがん検診を委託しており、レントゲンの画像診断には第一読影を行う指定医療機関の医師と医師会の専門医を含む第二読影チーム(3名体制×9チーム)のダブルチェック体制で診断が行われてきました。それを、2014年度を境に受診者の増加を受けて、院内に2名以上の医師がいて専門医が最低1名在籍している医療機関についてはその院内で第一読影・第二読影両方をしてよいとする医療機関6施設を指定しました。その一つである河北健診クリニックで7今回の見落としが起こりました。それも、2014・2015・2018年の3回にわたり見落としがされたことは重大極まりないことです。また、専門医不在があったことや二重読影の独立性が担保されていなかったことも影響しています。今回のような不幸な出来事が起こって、改めて、がん検診のしくみについて知ることとなり、さまざまな課題や改善点があることが浮き彫りとなりました。遅きに失した感はありますが、2度とこのようなことが起こらないよう、中立的な外部検証委員会で、これまでの肺がん検診等のあり方全般における検証・総括がきちんと行われ、区民の安心が得られる実効性のある仕組みづくりを再構築していくことを求め議案には賛成しました。22日の区議会本会議で最終議決が行われます。
今後、検証委員会の答申および答申を受けた区の対応を注視していきたいと思います。