新たに登場した「生活援助従事者研修」とは? 区議会保健福祉委員会報告
区議会第2定例会から常任委員会などが新たなメンバーとなりますが、私は引き続き保健福祉委員になりました。6月5日の委員会では3つの条例改正が審議されましたが、その内の議案第45号「杉並区指定地域密着型サービス事業の人員、設備および運営等の基準に関する条例の一部を改正する条例」について取り上げます。この条例改正は介護保険法施行規則の改正に伴って、文言の整合性をとるというものですので反対するものではありません。しかし、そもそも国が新たに打ち出してきた「生活援助従事者研修」については国民的合意がとれているのか疑問があります。
2018年度介護報酬改定に向けた議論の中で、「生活援助従事者研修」が新たに位置づけられました。「訪問介護事業所におけるさらなる人材確保の必要性を踏まえ、介護福祉士等は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型については人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了した者が担うこととする」という審議会報告を受けて、介護保険法施行規則が改正されました。訪問介護を「生活援助」と「身体介護」に分けて、それに従事する人の資格も分けるというもの。この議論は今に始まったことではないため、私はかねがね介護現場の方々から、その問題点については聞いていました。「生活援助」とは食事の準備や掃除・洗濯・ゴミ出し、日用品などの買い物などの日常生活のサポートです。一方、「身体介護」は身体に直接触れて行う介護サービスで食事や入浴、移乗、排せつ、口腔洗浄などの介助です。これまで時給の高い介護福祉士も報酬単価の低い生活援助にかかわるケースもあるとか、生活援助はプロの介護者がやらなくても的な意見があったことも今回の改正の背景にあるといわれていますが、そもそもは介護給付をどうしたら押さえていけるかといった財政的な問題解決が先にありきです。
介護が必要な人の暮らしの維持は生活援助や身体介護の組み合わせの連続で成立しています。果たしてそれぞれを切り分けて上手く行くのか、家事のお手伝い的なかかわりの中であっても、お年寄りのちょっとした体調の変化や家庭内での課題などを読み取れるスキルは絶対必要であり、重要なことだと感じています。私は介護の専門家ではありませんが、一生活者として素朴に疑問や不安がわき、その辺を委員会で確認をしました。新たな「生活援助従事者研修」では認知症への理解や観察的視点を盛り込むことということでしたが、それで十分なのかは判断できません。改めて現場の声を集めるなどして課題を調査していきたいと思います。ケアを受ける方やその家族にとっても、介護職従事者にとっても、そして訪問介護事業者にとっても持続可能な訪問介護を成り立たせるためにはどうすればよいのか。様々な立場の方のご意見をぜひ、お寄せください。