「民泊」を地域資源として活かそう! 区議会報告②
私が所属する保健福祉委員会には10件の議案が付託されました。その中で特に議論になったのが「杉並区住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」と「杉並区立保育所及び小規模保育事業所条例の一部を改正する条例」でした。
前者はいわゆる民泊条例で、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が6月から施行されるのを受け、3月15日から民泊の届出受付が始まるのを前に杉並区として条例を制定するというものでした。民泊は2020オリパラに向けて増える来街者に対応するために普通の住宅でも届出すれば宿泊が可能に。宿泊施設に対する規定は旅館業法ですが、それに照らせば、既に今ある民泊は違法となってしまいます。また、どこで民泊がされているか区は把握できなかったため騒音・ゴミ出しなどのトラブルに対しては通報がないと取り締まれないという課題も新法制定の背景にあります。杉並区は約8割が住宅地という地域特性があり、良好な住宅環境を守ることを第一に考え、特に家主不在型に対しては住宅専用地域では一定の規制をかけることと民泊営業にあたっての区の細かなルールを定めたガイドラインの策定が、今回の議案の趣旨となりました。
最近、大きなトランクを引いて住宅街を歩く外国人などをよく見かけるようになったなと感じている方は多いかと思います。2016年度末にネット上で所在が確認できた杉並区内の民泊は約150件。そんなにあったのかと驚きでもありますが、確認できないものもあるとその数はもっとかもしれません。民泊には家主不在型と家主居住型の2タイプがありますが、これまでもトラブルになるのは家主不在型ばかり。一方でトラブルがほとんどない家主居住型の方は国や地域を越えた文化交流の場となりうるなど地域資源として期待もできるため応援したい存在です。今後はいずれのタイプも、届出日、届出番号、住所が区のホームページに公開されるようになるため、地域住民にとっても‘なんとなく不安’だったものが‘安心’になればよいなと思っています。
具体的には、法律では年間180日までしか営業が出来ないことや管理業者や仲介業者も国交省に登録が必要となることなどが定められ、さらに杉並区では家主不在型は平日(月の午後~金の午前)の営業に独自制限をかけています。このため、トラブルの多い家主不在型が一気に増えることはないかもしれませんが、一方で規制を強めると対応できない民泊が依然と違法なまま営業し続けることが心配でもあり、その動向も見ていかなくてはならないと考えています。何れにしても、民泊解禁を機にどうしたら事業者、来街者、地域住民がお互いに気持ちよく過ごし、地域の活性化につなげられるか、少しずつやりながらより良いものにしていくことが必要です。民泊事業者や地域住民にも杉並区のルールを理解してもらうための周知徹底を求め、議案には賛成しました。