みんなで守りたい!屋敷林・農地は大切な社会資源
「杉並区緑地保全方針」の説明会に参加したことを9月に書きました。その後、モデル地区に設定した荻窪一丁目・成田西三丁目地区周辺住民による屋敷林や農地の保全方法を考えるワークショップが3回にわたり開催されました。その2回目・3回目の会を傍聴しました。
この地域には17代にわたり大切にしてきた農地や屋敷林があり、その一部を農業体験農園として区民に開放するなど保全したいみどりが残っていました。ところが、その17代目が亡くなり相続が発生。都市に残る農地は相続の度に消滅していく運命にありますが、「土地を守ってくれ」という故人の遺志を受け継いだ息子さんがどうしたらこの土地を守れるか区と相談する中で、幸いにもみどり保全する計画が進行中です。18代目にあたる息子さんの本業は農業ではないのですが、ご自宅前の農地斜面にあるみかん畑を荻窪みかんとしてブランド化できないか挑戦中だというお話を伺い、ちょっとわくわくしたのは私だけではないと思います。
ワークショップでは18代目が税金の問題や畑の維持費、生産物が適正な価格で評価されない大変さなどを率直に語られました。また、体験農園の事務局をやっていた経験から、農地は生き辛さを感じている人に力を与えることや、有事の時のための土地の確保の大切さを知ったとのこと。好意的な人がいる一方で土埃や農薬、騒音などへの近隣からの苦情があることなどメリット・デメリットを区民の方々と共有できたのは良かったと思います。
区が行ったアンケート調査では屋敷林や農地がある街並みをどう思うかという問いにそれぞれ90%・82%の人が好きと応えています。そして、その3/4以上の方が屋敷林や農地を残すために何か協力したいと回答しています。人々の意識も少しずつ変わってきているように感じます。
現在、杉並区では体験農園だった土地を区が買い取り、誰もがいつでも利用できる「成田西ふれあい農業公園」として建設中で、来る4月9日が開園式の予定です。一方で、農地や屋敷林の保全についてのアイデアが今回のワークショップでもたくさん出されました。農作業の体験の場にするとか、援農ボランティアの育成とか、落ち葉を集めて堆肥づくり、小中学校の授業に組み込むとか、明かりを消して夜空の観察会、屋敷林をライトアップしちゃおうというアイデアも出され、屋敷林・農地の所有者と区民、行政が一体になってこの地域の環境を守るための議論はとても有意義なことだと感じました。今後、ボランティア組織を形成していきたいという区からの提案があり、今回の参加者にその核となってほしいと呼びかけがありました。もっとおおぜいの区民に関心を寄せてもらうためには、農業公園も使いながら全区的にこのモデル地区の取り組みをアピールし、次のモデル地区が生まれるようにしていきたいと思いました。