「障害児を預かり、保護者の就労を支える」保育園ヘレンの取り組み

  生活者ネットの同僚議員、そね文子(右)と

生活者ネットの曽根文子とともに杉並区議会で6人の会派いのち・平和クラブで活動しています。この会派で初めて、まずは足元の課題を探ろうということで区内の施設を訪ねました。その一つに選んだのが、昨年9月に天沼に開園した障がい児専門保育園ヘレンです。児童発達支援事業に位置づいており、開設にあたっては杉並区が1,000万円の補助をしているということです。

 新生児医療の進歩によって、これまで助からなかった命が助かるようになり、そのことは喜ばしいことではありますが、一方で医療的ケアが必要な重度の障がい児が増加傾向にあるということです。また、45年前からの大島分類に基づく障がいの程度区分認定が現状に合わなくなっていることが課題で、その基準の見直しの必要性もあるようです。*大島分類 府中療育センター元院長大島一良氏が発表した重症心身障害児の判定区分

 子ども向けの訪問看護や障がい児保育、保護者のレスパイトケア**などのインフラが全く足りていないというのが現在の日本の状況です。**レスパイトケア 乳幼児や障害児・者、高齢者などを在宅でケアしている家族を癒やすため、一時的にケアを代替し、リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス

障がい児を持つ家庭は、フルタイムで働く母親の雇用率が5%(健常児の場合34%)という数字からも見て取れるように、長時間子どもを預けるところがないためにシングルインカムにならざるを得ないことも多こと、しかも障がい児の場合、医療費や療育費などの子育てにかかる費用負担も嵩み、生活面でも厳しい状況に置かれていると聞きました。そのような課題解決のために日本で初めて、「障害児を預かり、保護者の就労を支える」ことに一歩踏み出した認定NPO法人フローレンスの取り組みはとても意義深いものです。

 フローレンスは10年以上前に訪問型の病児保育からスタートし、今では都内にとどまらず埼玉・神奈川・千葉まで広がり、約4,000名が会員登録をしています。常に時代のニーズに寄り添った事業を展開していて、今年4月からは訪問型の障がい児保育事業も開始し、通常保育園に通う子どもの介助なども行っています。

 ヘレンには現在、重度心身障害児5名と医療的ケアは必要がない肢体不自由児や知的障害児10名を預かっていますが、特に後者の子どもたちにとっては集団保育の中で生活できる証になって、通常の保育園に転園していくケースが出始めているということです。本来は色々な子どもがいる中で育ちあう環境があるのが良いことだと思いますが、まだまだ、その体制が世の中には整っておらず、そこに次の風穴を開けようとしているフローレンスの取り組みに期待します。