女性の視点での防災~「女性防災ネットワーク・東京2018」に参加して

「女性防災ネットワーク・東京2018]」会場で

昨今、大雨による水害やがけ崩れ、地震被害など、私たちの日常生活を一瞬にして壊してしまうような大災害が全国あちこちで起きています。直近でも近畿地方の台風被害や北海道での震度7を記録する地震と多くの方が犠牲になられ、今なお避難生活を余儀なくされている方々に心からお悔やみ・お見舞い申し上げます。

防災・減災は自治体でも大きなテーマで、いかに住民の防災に対する意識を高め、いざというときに地域の力が発揮できるように日ごろからの訓練の積み重ねがとても重要です。毎回、被災地での課題を次に活かすためにといいつつ、なかなか「これで大丈夫!」と言えるような備えにはなっていないのが現状ではないでしょうか。

先日(8/21)、”女性防災ネットワーク・東京“2018キックオフ・イベントがあり参加してきました。この “女性防災ネットワーク・東京”は多様性の視点に立って防災活動をすすめてきた有志の方々が、多くの人たちと東京で防災・減災活動をすすめたいとの思いから立ち上げた団体です。オープンなネットワークを目指し、女性特有の災害時の課題などに理解を広げることを主なテーマにすすめています。

呼びかけ人の一人である減災と男女共同参画研修推進センターの浅野幸子さんからはなぜ多様な視点が防災に不可欠なのかという問題提起があり、その後、リレートーク式で子育て目線の防災実践や福祉防災の立場、車いす生活の女性障害者の立場、被災地支援の現場、地域防災の現場からと様々な課題や具体的な取り組み例のお話があり、とても参考になりました。

印象に残ったことは、避難しなくても済む人を増やすことと、避難しなければならない人は安全に避難ができるようにすること、子育て目線では赤ちゃん支援だけでなく親のエンパワメントが大事。子育て世代は賃貸マンションなどが多いため、原状復帰が必要となるため家具などの固定をねじ止めできないというお話にはハッとしました。また、福祉的視点では「不便だけど不幸でない人がいる」、つまり避難所は不便だけど一人でいる自宅より幸せということ。行政はいかに不便を減らすかという発想になりがちだが、不幸を軽減するために何をするかという視点が大事だということ。

そして、高齢者や単身世帯が増加すると自助はできなくなり、近所づきあいや町会・自治会への活動参加も激減している中で共助も厳しくなり、公助の頼りとなる自治体職員は減っている…。車いすの女性はいざという時、自分が行けるトイレがあるのかと不安を語っておられました。この日参加されていた日本トイレ研究所の加藤さんは、震災救援所のトイレは23年前からウンチまみれで変わらないと。震災救援所のトイレで定点観察したところ、車椅子の女性がドロドロトイレに四つん這いで入っていったという話はとてもショックでした。トイレのたすけあい=「便助」!救援所のトイレ担当の配置はとても重要なことです。

障がい当事者を避難所運営メンバーにすべきことや、多文化共生の観点からも案内表示をひらがなにすること(結果、高齢者や子どもにもやさしい)などのヒントももらいました。避難所運営には生活者の視点がとても重要であり、そういう点からも女性の存在は必須です。私も以前から女性の防災リーダーの育成を区に訴えていますが、改めて実情を確認して行きたいと思います。全ての人の尊厳が守られる防災計画にはまだまだ、程遠いと感じました。