生活保護制度を考えるフォーラムに参加して~その①
「生活保護バッシングに抗して活用策を考える」というフォーラムに参加してきました。
生活保護は憲法25条に基づく「生存権」を保障するための制度で、さまざまな事情により持続可能な生活を送れなくなった人のセイフティネットとして用意されたもののはずです。しかし、ほんの一部の不正受給を引き合いに出して、厳しく取り締まらなくてはという機運に乗っかり、社会保障費の抑制に向けて、2013年8月から生活扶助基準が引き下げられてしまいました。また、生活保護法の改定では、不正受給対策の強化は良いとしても、生活保護の申請手続きの厳格化や申請者の扶養義務者に対する調査権限の強化、後発医薬品の使用の義務付けなど社会的に弱い立場の人をより弱い方へと押しやるようなことが起こっています。
生活保護制度利用者はバブル崩壊後から増え続け、1995年の約88万人が2014年2月には約217万近くまで増え、全人口の1.7%の人が制度を利用していることになります。しかし、世界的に見て、ドイツ9.7%、フランス5.7%、イギリス9.27%、スェーデン4.5%(いずれも2010年の数字)と比較してみても日本の生活保護利用率はとても低く、一見豊かな国なのかしらと錯覚しそうですが、むしろ逆です。本来、生活保護を必要としている人々が制度を利用している割合である捕捉率*で見てみるとドイツで約65%、フランス・イギリス・スェーデンは80~90%であるのに対して日本は15~18%で、生活保護制度のハードルが高いことが見てとれます。6人に1人が貧困という日本にあって、特にひとり親世帯の子どもの貧困率**は59%でOECD加盟30か国中最悪の数字にはショックを覚えます。子どもの貧困対策法の成立(2013年6月)で子どもへの支援を強化する一方で生活保護を削るというのは矛盾しています。子どもの時の貧困を早い段階で断ち切るための方策が必要です。 (つづく)
*捕捉率:生活保護が必要な生活レベルの人で実際に保護制度を利用している人の割合 **貧困率:標準的所得の50%(単身で月収93,000円、4人世帯で186,000円)未満の人の割合