石けんを使おう! プラスチック製品を減らそう! ~未来へつながる『いのちと水』の物語~

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毎日使う石けん。自分や家族の健康のためにも、排水に有害化学物資を流さないためにも合成洗剤をやめて石けんに切り替えたい。シャボン玉フォーラム会場で 5/13

5月13・14日と2日間にわたり「2016シャボン玉フォーラムin東京」が開催されました。生活クラブ生協やパルシステム、グリーンコープをはじめ石けん運動を推進している団体で構成する石けん運動ネットワークが毎年全国各地でフォーラムを開催しています。今年で29回目、東京開催は5年ぶりで、今回515名が全国から集結しました。今年のテーマは「東京発!石けんで水の惑星地球を救え!~未来へつながる『いのちと水』の物語~」。1日目は東京農工大学教授の高田秀重さんによる「化学物質による海の汚染~合成洗剤、環境ホルモン、プラスチックと私たちの暮らし~」と水ジャーナリストの橋本淳司さんによる「限りある地球上の水~100年後の水を守る~」の基調講演2つがあり充実した内容でした。高田先生のお話では、合成洗剤やマイクロビーズが海や川に与える影響がいかに深刻かということ、このところ少し忘れかけていたことを思い出しました。もちろん、我が家は石けん派ですが、圧倒的多数の合成洗剤ユーザーが無自覚なのだとすれば、何とか環境や自分や家族の健康に悪影響を及ぼしているということに気づいてほしいと思います。

合成洗剤に含まれる界面活性剤LAS(アルキルベンゼン)は急性毒性が強く、水中の化学組成に敏感な魚は1.5㎍/Lで忌避行動(その水域を避ける)が起こると言います。LASは下水処理場で99%除去できますが、数ミリの雨が降っただけで、合流式下水道から生活排水が川から海へと流れ込んでしまいます。東京都の約半分が合流式で、残念ながら杉並区もそうです。そのため、雨水をいったん貯留しておく施設をつくり、なるべく生活排水が川に流れ込まない対策を進めています。しかし、だからと言って合成洗剤を使い続けていいということではないと思います。東京湾に流れ込む各河川の河口付近のLASや蛍光増白剤濃度の分布図にショックをうけました。分解されずに残留し続けることを物語っています。

また、マイクロビーズ(スクラブ剤)やプラスチック製品の破片、化学繊維などが海洋上に浮遊し、魚や鳥が餌と誤って食べてしまう、プラス

東京湾の砂を採取し水を加えると、カラフルなプラスチック破片やマイクロビーズが浮上する。プラスチック破片は自然に返ることなく蓄積される

東京湾の砂を採取し水を加えると、カラフルなプラスチック破片やマイクロビーズが浮上する。プラスチック破片は自然に返ることなく蓄積される

チックの添加剤が環境ホルモンとして悪さをする、そんなことが世界中で起こっている深刻な問題です。プラスチックの酸化防止剤や剥離剤、静電気防止剤として使われるノニルフェノールは環境ホルモンとして、子宮内膜症や乳がんの増加、精子数の減少、生殖器の委縮などを引き起こしていると考えられています。メーカーも対策をすすめてはいるものの、炭酸やお茶などのペットボトルの蓋や海外から入ってくるものなどからは依然として溶け出すため注意が必要です。また、プラスチックそのものが川へ海へと流れだし、やがて小さな破片となってプランクトンに混じって魚や海鳥が摂食し、体内に取り込まれたプラスチックから化学物質が生物組織に移行・蓄積し生態系に影響を与えてしまうことが危惧されています。すでに米カリフォルニア州でレジ袋禁止法が、サンフランシスコ市ではペットボトルでの飲料水の販売禁止、EU加盟国へレジ袋削減案策定を義務づけなどプラスチック汚染低減のための動きが出ています。普段何気なく便利に使っているプラスチック製品ですが、このまま何もしなければ海に流入する量が20年後には10倍に。いかにプラスチック自体を減らすこと、陸上での管理が重要です。リデュース(削減)・リユース(再利用)の割合を増やし、リサイクルは最後の最後にしていく、改めて暮らしを見直す発信をしていかなくてはなりません。

そして、基調講演②では毎日当たり前に蛇口をひねれば出てくる「水」について。日本における1日1人当たりの水の使用量は289ℓ。風呂が40%、トイレ22%、炊事17%、洗濯15%、洗面・その他6%だということです。飲料としてはせいぜい2.5ℓ程度ですから、それ以外での水の使用量がいかに多いかということを改めて認識した次第です。そして、今の時代、水にエネルギーがとてもかかっていることも知りました。造水・水処理・導水にエネルギーをかけないために流域内の水を利用することや雨水を活用することが大切だと。いつの間にか私たちはおいしい水を求める「水の消費者」になってしまったが、おいしければいいのかという橋本さんの問いかけ。この水がどこからどうやって来ているのかを知ることが大事なのだと。「水」を切り口にエネルギー問題や地下水、森の保全、バーチャルウォーターと視野が広がるお話でした。