おせっかいって大事! 子どもの貧困問題への取り組みが広がっています②

日本の子どもの貧困率は2013年度で16.3%。学校のクラスにも5~6人はいる勘定です。特にひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%。全人口の所得の中間に位置する中央値の半分の所得を貧困ラインとして4人世帯で250万円。ひとり親家庭の収入は児童手当を含めても手取り10万円ほどだと言います。そのような家庭の子どもははなから進学をあきらめたり、食事もろくなものを食べていない、夏休みなど長期の休みに入ると給食がなくなるので痩せてしまう子がいると聞いたことがあります。自己肯定感が持てずに親子で孤立してしまうケースも少なくありません。子どもにとってのよりどころは学校・家庭・そして地域。経済的貧困の解決は難しくても、経験の貧困やつながりの貧困の解決は地域で何とかできるものだと栗林さんは言います。貧困問題を語るとき、それは家庭の問題、自己責任だという人がいますが、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右され、チャレンジする機会すら与えられないのは、もはやそれは家庭の問題ではなく社会の問題だと考えていいのではないでしょうか。

 なるべく早いうちに貧困の連鎖を断ち切ることが重要です。子どもの年齢が低ければ低いほど支援がしやすく、親とも同時に接点がつくれるので乳幼児親子の支援から始めるとよいというアドバイスもありました。そして、必要な子どもだけを集めてやるより、子どもだったら誰が来てもいいよという懐の深さが必要だと感じました。くる必要のない子どもまで来てしまうと思った瞬間から差別や偏見が始まるという示唆にははっとさせられました。

 今、様々な所で子どもの貧困問題への取り組みが広がっています。西友がフードバンクを始めたり、お寺が子どもの学習支援やお供物のおさがりを提供したり、ひとり親家庭当事者が体験農園の余剰野菜を回収して子ども食堂に回したりとアイデア次第でもっともっとできることがたくさんあるなと感じています。

 あえてこの時代だからこそ「おせっかい」を蔓延させることが必要とも感じています。「おせっかい」=あなたのことを忘れずにいるよというメッセージだということを肝に銘じなければと。人とのかかわりの中からしか解決の糸口が見えないことを栗林さんのお話から改めて確認しました。都立高校進学をあきらめかけていた中学生の子に学習支援を始めて、ごはんも一緒に食べて、誰かと一緒に食卓を囲むことがなかった彼がしたその経験は将来、家庭を持った時にきっと生きてくるに違いないと思います。

 子どもの貧困対策法が2013年6月に成立していますが、まだ、その実効性を発揮できていないようです。地域の大人たちが受け皿をたくさん作り出して、ネットワークしていく、まさに地域を変えれば子どもも家庭も変わる、長い目で見れば未来も変えることが出来る、そんな良循環をつくり出していくことがみんながハッピーになれる近道なのではないでしょうか。杉並でも少しずつ支援の取り組みが始まっています。何かできること始めたいという声をお待ちしています。