区議会で奥田雅子が一般質問を行いました 質問全文 / 質問と答弁をご覧いただけます
ひきこもり支援について
シスターフッド杉並の一員として、通告に基づきひきこもり支援について一般質問いたします。
2023年に内閣府が行った「子ども・若者の意識に関する調査」結果で15歳~64歳の生産年齢人口においてひきこもりの人が推計146万人、50人に1人という数字が出され衝撃を受けた方も少なくないのではないでしょうか。
ひきこもりは、誰にでも起こり得る身近な社会課題です。
学校や職場に行けなくなったことをきっかけに、長期間にわたって社会との接点を失う人もいれば、家族の介護や病気、経済的な困窮、人間関係など、複数の困難が重なった結果として、ひきこもりの状態になる人もいます。
そして、ひきこもりが長期化することで、本人だけでなく家族もまた、誰にも相談できないまま孤立してしまうことがあります。特に、支援につながらないまま年月が経過し、親の高齢化と本人の高齢化が同時に進む「8050問題」は、今後さらに深刻になることが懸念されます。
これまで、ひきこもりは定義や基準、医療の必要性と有効性など医療モデルの視点で治療やカウンセリングなどが重視されたガイドラインが進められてきました。しかし、医療的ケアだけでは解決しない多様で複雑、長期化など困り感や生きづらさの把握支援の必要性と有効性に着目したソーシャルワークとしての社会モデルへの転換が求められるようになり、昨年の1月の厚労省による「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤(以下ハンドブックという)」の発行につながったと理解しています。
ハンドブックにはひきこもり支援は「本人を社会に戻す」ことだけを目的とするのではなく、相談を受けた機関は本人やその家族の尊厳を守り、寄り添いながら丁寧な相談支援を提供すること、一人ひとりの意見を受け止めて本人やその家族のペースに合わせたオーダーメイド型の伴走支援を行い、関わり続けることが大切だと記載があります。安心して相談でき、必要なときに必要な支援につながりながら、自分らしい生活を選択できる支援があることが重要だということだと思います。
杉並区において、既存の相談支援や居場所、就労支援などをつなぎ合わせながら、外からは見えにくいひきこもりで支援を必要としている人をどう見つけ、どうつながり、どう伴走していくのかが問われています。
昨年8月から杉並区ではひきこもり支援事業「ゆるりと杉並」がスタートし、相談の入口が電話・メール・LINEと様々用意され、電話対応においては平日の12時から20時という時間設定は働いている家族などにとっては助かるのではと評価しています。
ひきこもり支援事業としてひきこもり専用の相談窓口や居場所がスタートして1年が過ぎ、この間の成果や課題、今後の取り組みについて伺ってまいります。
①まず、杉並区のひきこもり支援に対する考え方と方向性についてお聞きします。
②昨年8月よりひきこもり支援推進事業がはじまり1年が経過しました。この間やってみての手ごたえについてどうだったか。「ゆるりと杉並」の利用状況も含めお聞きします。
③すぎなみ地域大学では昨年度から「ひきこもりサポーター養成講座」を開催し、今年度も実施予定と伺っています。どのくらいの方が受講したかということ、また、区はこのサポーターに期待することは何か伺います。
家族にとっては同じ悩みを持つ者同士の交流や情報交換の場は重要です。杉並区には長年活動をされてきた家族会があり、定期的に講演会や学習会を企画され、私も勉強させてもらっています。その動きは杉並区にとって大きな力となっていると思います。家族会に参加したことで本人の家族も気持ちが前向きになり相談につながるケースがあるかと思います。また、「すぎなみの居場所」という当事者の会も定期的に開催されていると認識しています。同じ経験を持つ人によるピア相談はひきこもり本人にとって最も理解してくれて信頼できる存在です。
④区とこの家族会や当事者の会とはどのような連携がなされているのか伺います。
8050問題や不登校など、様々な機関と連携することで問題の発見を早め、支援につなげる仕組みが必要です。親の介護で訪問ヘルパーが行った際にひきこもり状態の家族がいた場合など、どのような対応をすべきか、あらかじめ対策を立てておくなど、共通認識を持つことが必要だと考えます。ハンドブックは支援者や支援機関の共通理解を目指すとともに、ひきこもり本人やその家族とも共有したい内容に位置づけられています。具体的な支援のポイントや事例が掲載されておりイメージしやすいものになっていると感じました。
⑤杉並区ではこのハンドブックをどのように活用しているのでしょうか。活用しているとしたらどのような機関と共有しているのか確認します。
⑥また、一律的に解決することが難しいひきこもり支援は一人ひとり違う対応が迫られるため、できるだけ多くの機関とつながることが重要だと感じています。日々の支援ではどのようにして多機関連携をしているのか伺います。
⑦このひきこもり支援推進事業は国がけん引する事業でもありますが、国などの予算の活用状況とその内容について伺います。
⑧厚労省の担当者はひきこもりを特別視するのは良くないため、ひきこもり支援の資格化は考えていないと話していると聞きました。むしろ”人“とかかわる力、つまり伴走力を持っていること、傾聴・カウンセリング技術、共感力、社会資源等の知識・情報・ネットワークの技術・知識が豊富であるなどで、人として尊厳ある存在として理解する人間観・本人の意思を尊重する支援観・社会に対するとらえ方を理解する社会観の価値・倫理を正しく理解している人がふさわしいとのことでした。先ほども申したように一人ひとり違う対応を求められるからこそ、支援者には高いスキルが求められるのだと思います。そのような視点から杉並の相談支援は行えているか、区はどのように評価しているか伺います。
⑨8/19に実施された「ひきこもりUX女子会」はTOKYO広域連携事業として杉並区で開催され私も参加しました。なかなか地元での相談がしにくいということも聞きますので広域連携は重要な視点だと思いました。この広域連携に参加している自治体はどこで、具体的にどのような連携がなされているのか。パンフレットの交換やそれぞれのHPに連携自治体のリンクを貼るなどもされているのでしょうか伺います。
⑩ひきこもりになったきっかけとしては不登校が少なくないと聞いています。不登校=ひきこもりではありませんが義務教育の間あった支援が、義務教育終了した後も、切れることなく教育から福祉へ、就労、社会参加へと引き継がれていくような仕組みが必要ではないかと考えます。代表質問の区長答弁にもありました「(仮称)学びとつながり基本方針」の策定が検討される中で、生活自立支援担当や子ども家庭支援課などとも連携して策定するとのことで期待したいと思いますが、義務教育後の支援体制についても、この方針策定の中で検討がなされるのか区の考えを伺います。
⑪杉並区には子ども相談専用窓口「ゆうライン」がありますが、「ゆるりと杉並」の相談者は30代、40代、50代など中高年の方の参加が多く、だれでも参加できるとはなっているものの、10代後半や20代前半の若年世代の参加には課題があるのではないかという話を支援者から聞きました。区の認識はいかがでしょうか。
⑫相談窓口や居場所に自ら出向くことができない人、家族だけで悩みを抱えている人にどのように支援を届けるのか。アウトリーチが重要な役割を果たすと考えますが、杉並区でのアウトリーチはどのような状況か。また、地域福祉コーディネーターが地域の課題掘り起こしに動く中でひきこもりにつながった場合、どのように情報共有、連携がなされるのか伺います。
「今つらい」「誰かに話しを聞いてほしい」となった時、予約なしで相談できる場所があるとよいという声があります。今でも、24時間相談できる仕組みはありますが時間外であればすぐに返事が来ません。予約なしでもふらりと行って相談ができる場所が欲しいというニーズは理解できます。今後の動向を見ながらぜひ、常設の場の設置も検討いただけたらよいかと思いますので要望しておきます。
⑬ひきこもり本人の社会参加を図る場合、一気に就労に行くにはハードルがあると認識しています。まずは自室から出る、家から出る、相談や居場所に出かける、中間就労の場でやりたい仕事を試すなど、ゆっくりと時間をかけて行きつ戻りつしながらも少しずつ前に進んでいける段階的なしくみが必要だと考えます。人それぞれにアプローチ方法も違う中で、何を大切にすすめて行くのか、改めて区の姿勢を伺います。
⑭一方でひきこもり支援の現場では、従来の福祉サービスにつながりにくい事例や複合的な課題に対する長期的な支援が必要な事例も多く、支援者が疲弊し、バーンアウトしてしまうことも見られることから燃え尽き防止のための支援者へのサポートも必要と考えますが、杉並区ではそれに対する対応策などは考えられているのでしょうか伺います。
⑮杉並区には就労支援センターにジョブトレーニングコーナーがありますが、原則として一般就労を目指す人が対象となっています。ひきこもり本人が社会参加の一歩として、一般就労につながるかはわからないけれど就労体験をしたいという場合はすぎトレの対象になるのか確認します。
最後の質問です。
⑯ひきこもり支援は本人が地域社会の一員として暮らしていけるところまでが伴走だと学習会で学びました。ひきこもり本人が地域の中に依存先、相談先をいかにたくさんつくっていくかが重要という話も納得でした。そのためにはひきこもりの原因を社会側の問題としてとらえ、地域の中にひきこもりに対する理解者を増やし、つながれる場や機会をつくっていくことが必要ですが地域との関係をどのように形成していくのか区の見解を伺います。
ひきこもりはもはや若者に特有の現象でもなければ特殊なことでもありません。高齢化が進む地域社会のなかで、課題は重層化していますが、杉並区にはこれまでに培ってきた地域活動の資源があります。それらの財産を活かして、ひきこもり本人や家族が孤立せず、自らの意思により生き方や社会とのかかわりなどを決めることができるようになることをめざし、区が真摯に取り組んでいくことを求め私の一般質問を終わります。
