香り高いスパイスのはなし~「安全・安心」の裏に「情報公開」あり

右が和高スパイスの井上さん 1/16

右が和高スパイスの井上さん 1/16

私が参加している生活クラブ生協は組合員が生産者と協議しながら、こんなものを作ってほしいと要望している。先日、提携生産者の和高スパイスとの交流会に参加した。生産者も世代交代がすすみ、若い井上さんは和高スパイスのいずれは後取り、新鮮な語り口だった。そのたびごとに新たな発見があるのが生産者との交流会だ。

テーマはズバリ「スパイス」。スパイスは香り(賦香・矯臭)や辛味、色づけなどを目的に用いるもの。全て植物由来のもので、添加物が入る余地はない。市販品の粒マスタードやチューブ入りわさびやからしなどの加工品では着色料や酸味料、香料、ソルビット、増粘多糖類、ビタミンC、酒精、ミョウバン、セルロース、PH調整剤など実に多くの合成添加物が含まれているのが常。しかし、和高スパイス製の粒入りマスタードは小さなビン入りで要冷蔵品。実はそれは市販品ではあり得ないものらしい。小ビンにも要冷蔵にも理由があった。添加物を一切使っていないため日持ちがしないからというのがその理由。

そう言えば、スーパーでは粒マスタードは常温の棚に並び大きなビン入りだったなと。いちいち冷蔵庫から取り出し、すぐになくなってしまうような容量で、時間が経つと水分が分離してきてしまうようなものは世の中では通用しないらしい。

でも、通用するかしないかは誰が決めているのかと言えば、それは使う側の消費者ではなく、売る側のメーカー、販売店の論理だ。生活クラブの扱う材は常に売る側の都合ではなく、使う側にとって必要な要素を満たすものだ。だから、「商品」とは言わず「消費材」という。このこだわりに姿勢や理念が込められている。

井上さん曰く、生活クラブからは安全なものを提案するよう言われたことは一度もない。全て情報公開できるものをと言われたと。そう!「情報公開=安心」結果として安全がついてくるのだ。誰がどのようにつくったものなのかが全て公開され、それに消費者が納得いかなければ、使う側の希望を伝え、一緒に開発することもある。顔の見える関係に生産者も消費者もこだわることが安全につながっているのだと思う。

今、情報公開が様々なところで問われている。あらゆる情報が瞬時に世界中を駆け回るようになり、伏せたい情報もオープンになってしまうこともある一方で、本質的な重大な情報が隠されることも度々問題になる。隠すということは疾しいことがあるからと思われても仕方がない。だから、情報公開は相手を信頼するという観点からは絶対条件であり、あたりまえにしていくことが必要だ。