参加と共生の住まい方によって豊かな暮らしを実現する!

地域の居場所「オープンリビングけやきの見える家」で都市農業について話をしてくれた、本橋成一さんと 6/30

地域の居場所「オープンリビングけやきの見える家」で都市農業について話をしてくれた、本橋成一さんと 6/30

空き家・空き室活用を考えるシンポジウムに参加して

もうひとつの住まい方を研究し推進する「もうひとつの住まい方推進協議会」主催のシンポジウムに参加しました。毎回多様な住まいのあり方についての提言があり、多くのヒントを持ち帰れる私の情報源の場にもなっています。

今回は空き家や空き室の活用を考えるというテーマで、「空き家」「空き室」「空き部屋」の3タイプに整理しての提言が千葉大学の小林秀樹教授からありました。「空き家」は一戸建て住宅の空き家のこと。グループホームや福祉施設やシェアハウスとしての活用が考えられます。「空き室」は共同住宅の空き住戸のことで、公的住宅として借上げるなど用途を変更して活用する。「空き部屋」は広い家の空いている部屋のこと。家主が住まいながら空いている部屋をホームシェアや地域の居場所づくりに提供するなど、それぞれに少しずつ事例も広がり始めています。

空き家は新築に比べて安価に住まいを確保できる可能性がありますが、大都市では土地価格の高さによって厳しくもあり、共同居住することで安価で住まえる工夫が必要となります。ただ、安いと言うだけではない参加と共生の住まい方によって豊かな暮らしを実現することができるところが魅力です。また、空き家の福祉的利用や地域への貢献、たすけあいの工夫など社会的意義をもった活用に光が当たるようにすることが必要です。しかし、空き家の活用のハードルとなる建築関連法規の課題もあり、今後は既存住宅を利用した少人数のシェア居住などを特定住宅として定める条例が必要となるということです。

2013年9月に国交省は事業者が運営するシェアハウスはすべて「寄宿舎」とする通知を出した。これは脱法ハウス対策が目的でしたが、一般のシェアハウスやグループホームを含み、まじめに取り組む空き家活用事業に支障が出る事態が起こりました。そのため、2014~2015年に国と都は200㎡以下の小規模の寄宿舎の基準を緩和した経緯があります。

しかし、今年に入って豊島区が一定の条件をクリアすれば若者のシェアハウスや高齢者のグループホームに空き家を活用できる条例案を策定しましたが建築基準法にない新しい運用に国交省が難色を示し、頓挫しているという報道がありました。先に述べたように、建築基準法の壁が空き家活用の推進を阻んでいるだけに、豊島区の今後の動向を注視していきたいと思います。

事例紹介があったNPO法人コレクティブハウジング社は地域とつながりながら暮らす「タウンコレクティブ」を推進しています。人間関係が希薄化している今だからこそ「共に住む、共に生きる、共に創る」をコンセプトとしたコレクティブハウジングに魅力を感じる人も多いのではないかと思います。また、NPO法人ハートウォーミング・ハウスの事例はホームシェアしたいオーナーと空き部屋に入居したいシェアメイトをマッチングする支援ですが、事例数が少ないことからもまだまだハードルが高い取り組みなのかもしれません。意識改革が必要です。

杉並区も今年の初めに総合的な住まいのあり方の答申が出され、空き家等対策計画を策定中です。今年の秋ごろには居住支援協議会も設立する予定で、知恵と工夫によって地域の資源として空き家の活用が図られるよう働きかけていきたいと思います。